「生物農薬」ってなんですか?テントウムシの農業活用

飛び立つテントウムシいきものばなし
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生物農薬は英語で「バイオペスディサイド」と言います。

めっちゃカッコいい!

農薬(化学農薬)の問題

消費者の視点からすると農薬に対してあまり良いイメージは無いと思います。

身体に害を及ぼすリスク残留性生物濃縮、また環境への悪影響など、
社会問題としても取り上げる機会が多くあったので知見の深い方も多いのでないでしょうか?

現在では問題の少ない農薬の開発がすすみ、
法律や使用基準も設けられていますがその背景には農薬が用いられないと
産業として成り立たないという側面も大きくありそうです。

なぜ農薬が必要なのかについては農林水産省の資料がありましたので参考までに。

『農薬はなぜ必要か?』京都大学大学院 農学研究科 宮川 恒
農林水産省のHPより

今回のテーマは広義では「農薬」として扱われる生き物を利用した「生物農薬」についてです。

生物農薬とは

有名なのはアブラムシを捕食する「テントウムシ」の例です。

アブラムシは植物の液を吸って弱らせたり、枯らせたり、ウイルスを伝染させたりしますので植物を育てたい側からすると厄介な害虫です。

このアブラムシの天敵となるのがアブラムシを捕食する肉食昆虫である「テントウムシ」。

ガーデニングなどを趣味されている方であればテントウムシをとても可愛く感じられていると思います。

害虫の天敵となる昆虫を利用したり、菌やウイルスを「生物農薬」として用いて農作物を保護するアプローチが研究されています。

生物農薬にも問題点がある

一見なんの問題も内容に見える「生物農薬」ですが、問題点が無い訳ではありません。

虫は逃げるので閉鎖空間でしか利用できない。

せっかく生物農薬(特に昆虫)を利用しようと思っても逃げられてしまえば意味がありませんので、閉鎖空間を用意す必要があります。

防除対象が狭い。

化学農薬と違って対応できる害が狭く、すべての害には対応できません。

コストが高い

化学農薬と比較すると製造コストが高くなり、それは消費者に対しては価格で還元ことになってしまいます。

生態系への懸念

外来種を生物農薬として用いる場合、生態系への悪影響が懸念されるます。

効果を発揮するまで時間が掛かる。

生物農薬を導入してもすぐにメリットが得られないケースもあり、その間農作物の商品価値は減り続けてしまいます。

化学農薬との併用が難しい

化学農薬によっては「生物農薬」を排除してしまう結果にもなるので、影響のない化学農薬を用いなければなりません。

 

害虫などのターゲットに対して効果のある虫、菌、ウイルスなどを用いるのは化学農薬と比較して残留毒性などの問題がなく安全性が高いというメリットがありますが、それだけではすべての問題に対応できないという問題を抱えています。

農作物の安全性をコントロールしていく

農作物は人間の口に合うように改良を重ねられた「商品」。

自然界に存在する植物ではない、と考える方が適切だと思います。

高い栄養価を持つ農作物は様々な病害虫に狙われる存在ですので
ちゃんと保護をしなくては安定して供給することが出来なくなってしまいます。

「化学農薬」「生物農薬」も同時多発的に引き起こされる農作物への被害から守る為のツールの一つです。

農薬を使用すること自体が悪なのではなく、ちゃんと安全性が確保されているのかというポイントに注目していくことが「安心できる美味しい食卓」を守る為には重要なことなのかもしれませんね。

 

 

             

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