2013年にFAO(国連食糧農業機関)が有益性を報告書として発表してからにわかに脚光を浴びている昆虫食。
現在テレビ番組やyoutubeといった動画メディアでもトピックスとして取り上げられるのが一般的になってきているように思います。
だが自分が食べるとなると嫌悪感を感じるという人も多いいのではないでしょうか。
かくいう僕も積極的には食べたくないなと感じているのが正直なところです。
ただ、ちょっと視点を変えてみれば昆虫は世界で1900種類以上が食糧として扱われ、少なくとも20億人を超える人間を支えている食糧源でもあるという事実があります。
昆虫食が注目される理由
増え続ける人口や生活水準の向上によってこれまでのように家畜を中心とした動物タンパク源を供給していくことは困難であり、深刻な環境破壊につながることが懸念されます。
そんな「食料問題」に対する解決策として検討されたのが、「昆虫食」なんです。
昆虫食が注目されたのは総じて
- 栄養価が高い
- 餌料要求率(feed conversion rate)が低い
※餌料変換効率(feed conversion efficiency)が高い - 偏在性が高く環境に与える被害が少ない
- 温室効果ガスの生産量が家畜に比べて低い
- 畜産ほど土地が必要でない
- 小資本で養殖できる
などの点が挙げられています。
現在主流の畜産による動物性タンパクの供給よりも、昆虫食を取り入れていった方が効率的に食糧問題を解決に導けるため対策になるということですなんです。
昆虫食べられますか?
日本でも地域によっては昆虫食が一般的であるように、幼少期に昆虫食が一般的な食生活だった場合には忌避感が薄かったり無かったりすることが多いようです。
「食物新奇性恐怖」という言葉を聞いたことはありますか?
心理学領域で扱われる言葉で食べたことのない「新しく珍しい」食物に対して、食べることを躊躇して摂取を拒否する行動傾向のことです。
反対に積極的に新しい食べ物を摂取する行動傾向を「食物新奇性嗜好」と言います。
新しい食べ物に対して拒否するのか嗜好するのかについては、強い遺伝的特性によるものとされているようです。
食がQOL(クオリティオブライフ/生活の質)に及ぼす影響は別の機会に考えるとして、昆虫食にもこの食物新奇性が大きく関わっていると言えそうです。
遺伝的要素が強いとしたら、訓練していくしかないかもしれませんね。
豆知識:クモは昆虫じゃない!?
虫は人・獣・鶏・魚以外の動物のことを指すといえる位広くてあいまいな意味合いを持つ言葉です。
そもそも「虫」という感じ自体が蛇を成り立ちとした象形文字なんですよ。
それに対して昆虫は生物学の分類に使われている言葉でとても簡単に色々と省略して説明すると「節足動物門昆虫綱」に属する生物を指します。
実は蜘蛛は節足動物門に属する「蛛形綱」の生き物ですので昆虫ではないんです。
その為「蜘蛛は虫ではあるが昆虫ではない」といえますね。
昆虫の簡単な見分け方は
例えば道端で虫を発見した際に、
- 体のつくりが「頭」「胸」「腹」と3節に分かれている。
- 脚が6本である。
- 翅がある。
- 触覚がある。
という見た目をしていれば昆虫と思って良いようです。
昆虫食を考える時の調理・加工
個人の性質に関わらずに昆虫食が多くの人類に有効活用される為にはイメージ戦略も大切だと思います。
「みどりむし」と学名である「ユーレグナ」と呼称するだけでも個人的にはなんとなく忌避感が薄れるのを感じます。
特に西欧にほとんど見られない食文化なので全世界規模で受入れられるにはとても時間が掛かるかもしれません。
ただ昆虫食を取り入れるのに、ネガティブに働くであろう見た目の問題は加工や調理で解決できるかもしれませんよね。
原料として利用したり見た目が気にならないように調理したりすることで食べた人が結果的に「美味しい!」と感じれば、あんがいあっけなく広がっていったりするのではないでしょうか?
まとめ:一度意識して食べてみるのはどう?
食糧問題を考えていくと昆虫食は避けて通れないのではないかと思える状況でもあります。
これまでに意識して食べてこなかった方が多いと思いますが、一度ポジティブなものと意識して食べてみると良いかもしれません。
探せば以外と簡単に見つかるようで、東南アジアの食材を扱うお店にはよく置いてあるようですし有名な「はちのこ」なのであればネットでも購入可能です。
色んなものを食べられる「雑食性」である人間の能力を楽しんで発揮できる機会だと思いますよ。
※FAO(国連食糧農業機関)の資料
昆虫の食糧保障、暮らし そして環境への貢献
昆虫食についての報告書原文はこちら
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