托卵って「カッコウ」の代名詞になっていますが実は他にもいます。
カッコウを含めて「ホトトギス」「ツツドリ」「ジュウイチ」の4種類が日本で托卵をする鳥たち。
世界で見ると約80種の鳥が「托卵」という方法で子育てを行っているのだそうです。
托卵から成鳥までの流れ
托卵のターゲットとなる「モズ」「オナガ」「ホオジロ」「オオヨシキリ」などの仮親となる鳥が留守の間に、カッコウは巣から卵を一つ咥えた後に一つ卵産み何食わぬ顔で去っていきます。
カッコウの雛は仮親の卵よりも1~2日早く帰り、他の卵を背中で押して巣の外に落としてしまいます。
もはやカッコウの雛だけになったとしえも、仮親となった鳥たちはせっせと餌を運び続けます。
そして十分に体が大きく育ったら巣からさっさと飛び去って行くのです。
それだけ聞くと、カッコウに対してとてもずる賢いという印象を受けてしまいます。
托卵する理由
どうやらこうらしいという説ではカッコウの仲間があまり「恒温性」の発達していない鳥だからと言われています。
基本の高い朝と低い夜で温度差が激しくなってしまうと卵を温め続けることが出来ません。
托卵という手段を発展させてきたのは「自分で育てる(卵を孵す)」ことが出来ないから…そう考えると同情の余地もでてくるのではないでしょうか?
托卵の成功率
ただ托卵という手段はそれほど成功率が高いものでもないようです。
例えば托卵の成功率が100%だった場合には、托卵される側の鳥が著しく減ってしまうので次世代では反対に托卵する先がなくなってしまいます。
自分の子ども以外を育てさせられる側も対托卵対策の能力を発達させていくわけですから、産み付けられた卵を見つけて排除したり、生まれて雛を排除していくというような行動をとるわけです。
成功率が高くないとなると沢山の卵を仮親の巣へ産み付けなくてはいけないですし、その方で他のカッコウと多重托卵になる可能性だってあります。
托卵する先は限られていて、相手も托卵対策の技術を高めていて、かつ増えすぎても今後に影響するという意外にシビアな生存戦略でもあるんです。
一番初めに見たものを親と思う鳥の習性に倣って「モズ」に育てられたカッコウは「モズ」に、「オナガ」に育てられたカッコウは「オナガ」の巣へと托卵するんだそうです。
進化の不思議で交配相手としての刷り込みは起こらないようです。
確かにカッコウからすれば、本当の親の顔は一切見る機会が無い訳で…ちょっと切ない気持ちになりました。
「托卵」は自然界では珍しくない
カッコウのように他の種に托卵を行うことを「種間托卵」というのに対して、、同種に対して行われる托卵は「種内托卵」と呼ばれるようです。
「種内托卵」は爬虫類でも魚類でも昆虫でも行う生き物がおり、自然界では種族を問わず行われている子育てともいえるのではないでしょうか。
人間の場合にも「托卵」は比喩表現として用いられる場合があります。
ニューズにもなったことがあるので知っている人も多いともうのですが、不倫の末に出来た子どもを夫の子どもと偽って養育している様子をカッコウの托卵に見立てたものです。
嘘か誠か2016年に匿名で行われてアンケートでは実に6%の既婚女性が托卵状態にあるという調査結果も出ています。約20人に一人…。恐ろしいですね。
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