作業中にアマプラで映画やアニメを見ています。
集中しろというはごもっともですが、言い訳をさせて欲しいです。
見ていた方が捗ることも捗らないこともあるので差し引きゼロ。
つまり見てないのと一緒だと思います。
冗談です。
まあせっかく見ているのだし視聴した作品の記録をつけてみようなかと思ったんです。
あくまで僕が思った感想なので、オモシロイですよとかツマラナイですよという事ではなく、流しみ見てたらこう思いましたというのを物語の解説+感想という形で淡々と書いていきたいと思います。
※ネタばれは気にしないこととしますので、予めご了承ください。
主人公はオジサン
『神達に拾われた男』|2020年作品
ブラック企業にシステムエンジニアとして勤めている39歳の独身サラリーマン竹林竜馬はひとりアパートであっけない最後を遂げる。天界に召された竜馬だったが、創造神、愛の女神、生命の神に協力を求められ、子どもの姿で異世界へ転生!?深い森で一人、のんびり暮らし始めた8歳のリョウマは、魔法でテイムしたスライムたちの研究にのめり込みながら新しい人生を謳歌する。やさしい人たちに囲まれて毎日が楽しい、まったり異世界スローライフファンタジー!
©Roy・ホビージャパン/『神達に拾われた男』製作委員会
出典:アマプラの商品説明の文章
いわゆる「なろう系」に属する本作品。
日本のブラック企業に勤めていた39歳の男が異世界に8歳の姿で転生しましたという始まり。
可哀想にも亡くなった人を神様が転生させるということなので、タイトルはそれに由来するのだと思う。
御多分に漏れずに色々な能力を授けられるわけではあるが、物語の肝はその能力を駆使して無双するというバトルものの作品ではなく、むしろバトル要素は軽く塩をふったくらいの感覚。
この物語での中心的な素材は「めっちゃ褒められる」という事だと思う。
もしかしたら原作はそうじゃないのかもしれないけど、アニメ版では確かにそうだと思うのだ。
原作はこちら
※『小説家になろう』より原作ページ
相棒は色んな種類のスライム
転生後は森の中でスライムを相棒にして3年の時間を過ごす。
モンスターを仲間にする魔法を使う人を「従魔士」と呼ぶ世界らしく、主人公にはその素質があるらしい。
その素質だけでなくすべての魔法に属性があるらしいが、それは珍しいがスペシャルではないという設定。
この世界のスライムはドラクエライクなものではなく、半透明の中に核をもつタイプでどんな生活を送ったかで様々な能力を持つ上位スライムに進化するというモンスターである。
主人公は色んな能力をもつスライムを相棒に生活をしながら、新種なども生み出していますよとの事。
平凡ながら心穏やかな生活に満足している主人公。
前世ではブラック企業勤めで心身共に疲れ切っていたという設定なのでそう感じるのだろうか。
でもこんな生活いいなーと思うほど、一人とスライムで完結する生活はストレスがなさそうだ。
そんな中森のなかで困っている一行を見つけることから物語は進展する。
運命的な出会い
森の中で困っていた一行はこのあたりの領主である侯爵家のパーティーだった。
ひとりは大きなケガをしておりこのままでは助けられない!という差し迫った状況を主人公が派遣するというナイスタイミングである。
たまたま治癒魔法に特化した「ヒールスライム(ヒーリングスライムだったかも)」を従魔としていた主人公はケガをしていた人を治療し一行からとても感謝される。
何をしても褒められる世界がここからはじまるのです。
一行がそれぞれ謝辞を述べ、主人公を褒めちぎって森を去ってしばらく。
やっぱり人と関わることはいいなーと感じる主人公。
でも、スライムたちとの暮らしにも満足しているので特別今の生活を変えようとは思っていない様子。
こういった心もちは結構現代社会に疲れている人にはすんなり受け入れられるだろうと思えた。
人間関係はともかくストレスの元ともいえるわけで、嬉しい瞬間もたしかにあるがままならないことが当たり前で嫌になる瞬間もある。
その点ひとり暮らしは人間関係によるストレスは皆無なわけで、人とたまに関わるくらいで(松屋で店員にいらっしゃいませと言われる程度)さみしくないという人にとっては失いたくないライフスタイルなんだと思う。
侯爵再びの来訪
公爵なのか侯爵なのかわからないけど、きっと侯爵なのでその認識でいたいと思う。
しばらくして森を去った侯爵さんはお礼の為に家族勢ぞろいで主人公の家へと訪れる。
どうやら町に向かう途中に寄ったらしい。
あんまり内容を覚えていないが一緒に街にいかないかという話になってちょっと迷うものの行こうという話になって主人公も同行する。
侯爵家には同い年位の美少女がおり主人公が頬を赤らめるというシーンがある。
中身が40代のおっさんなのに(現世で39歳で異世界で3年)、見た目中学未満の金髪少女に頬を赤らめるのは現代の価値観からするといいのか?ということにもなってしまうと思うが、のちに神様から転生後の年齢に精神がひっぱられて退行しているという指摘があるので、彼はちょっと賢しすぎるけれども年相応の精神年齢的な部分があってもしょうがないんですよということで補完されている。
やっぱり物語にはヒーローとヒロインがいた方がわかりやすいわけで、同い年位の美少女とキャッキャウフフする展開は悪くないし、望まれているものでもある。
逆にある程度のテンプレに沿ってくれないと「なろう系」にくくれないと思うし、くくられてくれないとみる方は安心してみられないかもしれないという点で美少女の登場は正しいとおもう。
そして侯爵一行と町へ向かう道すがら主人公はいかんなく自らの能力を発揮しすることで「すごいな」「すごいわ」「おどろきだね~」と口々にように褒めてもらうのだ。
町での生活を始める主人公
侯爵家一行と生活を通して、冒険者ギルドや商人ギルドも所属することになった主人公はすべての活動において大活躍する。失敗することは一度としてない。
その結果関わる全ての人たちから「すごいわ」「本当にすごいな」「さすがだぜ」と褒められ続けることになる。
そうなると人間ちょっと位調子に乗ったりしてしまうだろうと思われるがそこはフィクション。
「そんな~えっへへ」と嬉しがりはするものの感謝のこころを忘れずに人格者然とした振る舞いを続ける。
成功→褒められる→更なる成功→さらに褒められるサイクルが描かれているのがこの作品の特徴であともいえるだろう。
このアニメ作品にはいわゆる「嫌なやつ」が一切出てこない。
人の活躍を素直にすごいねと称賛を送ることができる人しか存在していない世界の様にもみえる。
裏では実は主人公の活躍に嫉妬をしているという描写も一切ないので、実際の世界ではありえない程人の反応にバリエーションがないともいえる。
とかくスローライフをテーマをする作品は読者にこんな生活したいなーという気持ちを起こさせる為に主人公が不快な理不尽な扱いを受けるイベントはないものが多いと思うが、全く一切ないというのは僕が知る限り珍しい。
全員が主人公側で相対する相手がいないのだから。
この特徴は現実世界において当たり前の称賛に恵まれない、もしくは称賛を受け取るべきと思うシーンで受け取ることができないというジレンマの一切排除したということなのだと思う。
主人公に自分の姿を重ね合わせることができればノンストレスで視聴することができる作品だろう。
ストーリーは「なにかする」→「褒められる」という予定調和を演出する為のトリガーに過ぎないので、とにかく安心してみることができるから。
主人公の独立
このアニメ作品の終わりは侯爵家との共同生活から独立するという場面で終わる。
独立とはいっても元の生活に戻るという事ではなく、町で冒険者や経営することになった洗濯代行店としての活動をしながらお世話になりっぱなしの状況とはおさらばしたく思いますというニュアンス。
良い人しかいない世界なので「何かあったら絶対に頼ること」などなどの柔らかな条件をいくつか付けられることで独立は認められることになる。
最後のイベントはヒロインである美少女が学校に行き、主人公は独立後に廃坑に住む(仕事の為)という別れであるが、きっとこのままこの世界が続いていくだろうという確信を視聴者は感じることであろう。
まとめ|神達に拾われて本当に良かった。
もし死んだとしたら叶えることができなかった願望を叶えたい。
というのは人が持つ希望としては大いに共感できる。
「なろう系」と呼ばれる作品の多くはそういった願望に対して作者なりの解答なり提案なりを返す内容になっていると思うが、この作品もその趣旨から外れるものでは無いと感じた。
作品としての特徴は前述したとおり褒められ続けるという事であるが、ここまでそこにフォーカスして徹底された演出をしている作品を他に知らない。
例えば9人並んでいるとする。そうしたらひとり一人順番に主人公をそれぞれの言葉で褒めていく。
そんな主人公を見ても神様に拾われて良かったね。俺も拾われたいよ。
と思えるくらい余裕をもった気持ちで視聴できるのだとしたら「いいね」と付けられる作品と言えるだろう。
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